ダラダラと活発たれ!!

メタルとか映画とか音楽とかいろいろ

色んなことを考えてみる

子供の頃はよく考え事をしていた。小学校の帰り道、下を向いて考え事をしていたらいつの間にか家の前だったなんてことがよくあった。頭の中で連想ゲームが連鎖反応的に起こり、目に見える物や聞こえてくる音がその反応の触媒となり、やがて中間生産物で頭の中がしっちゃかめっちゃかになるのが好きだった。

両親と話をしていて、二人の発言から連想したことを僕が話題にすると、この子は突飛なことを言い出すと言って二人は笑った。ぼんやりしていると頭が傾いてしまうという癖のある僕に、「脳みそがいっぱい詰まっている証拠だ」と親戚にお世辞を言われると、恥ずかしいようなよく分からない気持ちになった。

絵を書くのも好きだった。頭で連想したことを、ペンで紙に落とし込んでいく。連想ゲームが進むにつれ、紙の上は奇怪なアイデアでいっぱいになった。街を見る時、人を見る時。どうしたらそれを絵に出来るか考えていた。踏切、電車、信号機、鉄のフェンス、誰も使わないポスト、先生の髪の毛。凝視すればするほどその構造は異形のものに見え、それが存在していることが奇跡のように思えた。世界と関わることは容易で、ただ眺めているだけで十分だった。

 

今、昔通った道をもう一度歩く。かつてのように観想を巡らせようとしても、うまくいかない。思考の道筋は安全な所だけを通ろうとしてしまう。きっと、大人になって覚えた生きていくための知識が、危険な道を塞いでくれているんだろう。『大丈夫、先へ行ってしまえ。もっと速く頭を回転させろ。考えなきゃいけないことは、あの頃より増えたはずなんだ。』言い聞かせてみても、効果はない。

 

子供の頃は自由だった、なんて言うつもりはない。小学校は死ぬほど窮屈で息苦しくて、毎日が闘争だった。わからない事ばかりで怖かったし、その恐怖や悩みを説明できる言葉を知らないことがなにより嫌だった。あの頃に比べ知識は増え、教養とやらも少しは身に付いたつもりだ。そのはずなのに、覚えたことは諦めることと目をそらすことだけだった。

仕方が無いことだ。悩ましいクソガキだった僕が、心の平穏を手に入れる為に見つけた、たった一つの方法なんだ。あのころの僕にそう言い聞かせても、納得はしてくれないだろう。

ただ眺めているだけでは世界と関われなくなっていた。人生に積極的になることは、嫌なことから目を背けることと逆説的に連結していた。でももう少し先に進めば、観想的生活を送りながら、本当の意味での心の平穏を手に入れることが出来るかもしれない。

だから、頭を回転させなくちゃ。学ばなきゃいけないことも、考えなくちゃいけないことも、頭じゃ抱えきれないくらいあるんだから。

足がくさい

くさい。くさすぎる。

靴下は洗えば匂いは落ちる。靴は日ごとに履き替えて、時々脱臭ボックスに入れているのでなんとかなる。

問題は、足そのものだ。

家に帰る。靴を脱ぐ。靴下を脱ぎ洗濯カゴに入れる(この時ほかの衣類を被せておかないと悪臭がカゴから蔓延するので注意)。

そのままできるだけ床を踏まないようにシャワー室へ向かう。

そこからはもう一心不乱にゴシゴシゴシゴシ。

タオルにたっぷりボディソープを付けて、ありったけの力を込めて足を洗う。

指と指の間を徹底的に洗い、爪の間のゴミまで綺麗に取る。足の裏もシワとシワの間まで綺麗にする。そうでもしないとオレの足の匂いは取れんのだ。

念の為足首まで洗った後、水で流す。これを左右2セット。さすがにここまでやれば匂いは落ちる。

あー疲れた、今日はもう寝よう。

 

 

朝。目が覚める。今日はいい天気だ。

さあ支度をして出かけよう。

今日の靴下はこれを履こうかな、おや?

 

 

足がくさい。もうくさい。

 

 

なんなの?

天国への階段

窓を閉める。換気扇のスイッチを切る。夜の静けさに空間を支配させる。今から行う作業は、完璧な集中を要する。そのための準備をしている真っ最中だ。僕はこれから、少年時代毎晩のように開いていた扉の前に立つ。今夜こそ、うまく開いてくれそうだ。

 

僕と天国への階段

世界で一番好きな曲は?と聞かれた時の答えを、僕は既に用意してある。UKの伝説のハードロックバンド、Led Zeppelinの「天国への階段」だ。

この曲に出会ったのは中学に入ってまもない頃。父親に教えてもらった。「初めて聞いた時は父さんもよく分からなかったけれど、何度も聞いている内にわかってくるよ。」その言葉どうり、カーステレオから流れてくる音楽は、長くて退屈で僕には理解できないものだった。

それからしばらくして、父は僕にiPodを買い与えてくれた。その中に、Led Zeppelinのベスト・アルバムもしっかり入っていた。薄れた記憶を頼りに僕は、父が教えてくれたあの曲を探し出した。天国への階段──Stairway to heaven─ーを。

間もなくして僕はこの曲の虜になった。なんだかよくわからないけれど凄いものに触れている。その感覚は回数を重ねるごとに増していった。この曲は、BGMなんかには出来やしない。それだけの迫力を子供ながらに感じていた。

あれからたくさんの音楽を聞いた。あの時と同じ気持ちで、久々にこの曲に触れる。かつてのように、替えがたい恍惚に浸ることが出来るだろうか?余計な知識がメスとなって、あの完璧な幻想をバラバラに壊してしまわないだろうか?

 

それは杞憂に終わった。イントロが始まった瞬間から、あのころと変わらない感覚が支配する。心臓が大きく鼓動し、体全体が来るべき8分に身構える。やはり、この曲は特別だ。ギター、歌、ドラムス、オルガン、笛の音…この曲を構成する要素を分解し、理解しようとしても決して捉えることはできない。例えるならばそれは、夢の中で次から次に浮かび上がるイメージを繋ぎ合わせ、一つの物語にしようとするような作業だ。俯瞰に徹しようとも、その夢の中にいる限り、流れに逆らうことはできない。あのアルペジオが始まった瞬間から、否応なしに旅に連れ去られる。

ふと、ある考えが浮かんだ。もしこの曲にこれだけ魅力を感じているのは僕だけで、他の人にとっては、数ある楽曲の中の少しばかりか優れた一つに過ぎないのではないか?そんな馬鹿げたことを考えるほど、この曲は素晴らしすぎた。

だがその仮定は僕を不安にさせるどころか、嬉しくさせさえした。「天国への階段」と僕が、何か運命的な絆で結ばれているような気がしたからだ。もちろん「天国への階段」は世界中の誰もが知っている名曲中の名曲だからそんなわけはないのだが、もしそうだとしたらこんなにワクワクすることはない。この曲の持つ神秘的なイメージも相まって、よく出来すぎたストーリーを夢想するのも楽しい。

 

この曲を聞く度にいつも、僕は同じイメージを思い浮かべる。鬱蒼と生い茂る針葉樹の森の中、濃い霧がかかっている。その中を誰かがゆっくりと歩いていく…。ノルウェーブラックメタルバンド、Burzumのアルバムジャケットにも似た光景。いつもその一枚の絵が思い浮かぶのだ。

Led ZeppelinはImmigrant SongやAchilles Last Standなど、北欧神話をテーマにした楽曲を多数発表している。「天国への階段」が含まれるアルバムのThe Battle Of Evermoreという曲もその一つだ。おそらく僕の想起する情景はそこから影響を受けているのだろう。歩いていく人物というのも、「天国への階段」の歌詞の描写に合致する。だがしかし、決して訪れたことのない場所を何度も想起するというのは面白い。

更に、その一枚の絵、それに伴う追想は、僕の中に眠るより根源的な感情を呼び起こす。神秘的ではあるが決して宗教的ではない、自然に対する畏敬の念。更に、幼年の頃から抱いていたどうしようもない恐怖すら、僕はこの楽曲から連想してしまう時がある。この曲に限らず、僕は小さかった頃のことを考えると、どうしようもなく寂しくなってしまうのだ。幼いが故に、まだ外の世界のことをよく知らないが故に抱いてしまう恐怖や苛立ち。そんな思い起こすだけでたまらない感情が撫でられると、少しゾッとする。やはりこの曲の持つ魔力は嘘ではない。

 

話が暗くなってしまった。かつて僕がギターを弾き始めた時、この曲をマスターすることが最終目標だった。最初のイントロはある程度覚えているが、未だにどう弾くのかは知らない。もう弾こうとする意欲は失せてしまった。それは、この楽曲が持つ魔力を自らの手で再現することは到底不可能だからだ。もはや僕にとってこれは、音楽を超えた何かだ。あまりに素晴らしいものは、時にそれを追い求めることすら放棄させてしまう。

今の僕には、他に大好きな音楽ややりたい音楽がある。またいつか、どこかでこの曲が流れているのをふと耳にするかもしれない。その時僕はどう思うのだろうか。また違った感慨が生まれるのだろうか、それとも何も感じないかもしれない。だとしても、どうということはない。僕にとって「天国への階段」は、とうに人格や背景を捨てた、一つの「体験」だからだ。かけがえのない経験は、それを所有しているだけで価値があるのだ。

(終わり)

人生最高の映画「ベイビードライバー」

 

 

ベイビードライバー最高!!!!!!!!!!!!

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以上です。見てください。

 

 

というのは嘘で、もうちょっと続きます。

僕はこれまでこのブログで何度か「ジュークボックス映画」(既存の曲が流れっぱなしの映画のこと。僕がそう勝手に読んでるだけです。)への愛を語ってきました。タランティーノ作品やトレインスポッティングシリーズ、ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーシリーズに、グッドフェローズに代表されるマーティン・スコセッシ作品など…。様々なジュークボックス映画がある中で、未だ本当に満足いく作品に出会っていませんでした。

しかし、ついに出会ってしまいました…最高の1本に!!

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(左から、ニック・フロストエドガー・ライトサイモン・ペッグ)

 

これまで『ショーンオブザデッド』や『ホットファズ』(←大好き!!)などで、スピード感溢れる編集とかっちょいい音楽の使い方で僕の心を鷲掴みにしていたエドガー・ライト監督。

今までの作品でも「こいつはわかってる」と(偉そうにw)思っていた僕ですが、今作には完全にやられてしまいました。

この映画は、『マッドマックス〜怒りのデス・ロード』と並んで、僕の人生で本当に本当に本当に大切な映画です。

こんなに面白く、興奮する映画を作ってくれて本当にありがとう。エドガー・ライト監督…彼にやれといわれたらフェラチオでもなんでもしますよ僕は!!。

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以下あらすじ

幼い時の事故の後遺症によって耳鳴りに悩まされながら、完璧なプレイリストをセットしたiPodで音楽を聴くことで驚異のドライビングテクニックを発揮するベイビー(アンセル・エルゴート)。その腕を買われて犯罪組織の逃がし屋として活躍するが、デボラ(リリー・ジェームズ)という女性と恋に落ちる。それを機に裏社会の仕事から手を引こうと考えるが、ベイビーを手放したくない組織のボス(ケヴィン・スペイシー)は、デボラを脅しの材料にして強盗に協力するように迫る。

ベイビー・ドライバー - 作品 - Yahoo!映画

映画『ベイビー・ドライバー』予告編 - YouTube

このあらすじを読んだ時は、なんか都合の良さげな話だな、大丈夫か?と思ってしまいましたが、こうした一つ一つの設定もとてもよく出来ています。本当に上手に物語に必要な要素が配置されていて、驚かされます。驚異的なまでに、綿密に作られた映画です。

みなさんも騙されたと思って見に行ってください。僕の言っていることが誇張でも何でもないことがわかるはずです。

 

とにかく、この映画は僕の全てと言っても全く過言ではありません。

徹底的に計算し尽くされたカット割りと、鳴りっぱなしのイカした音楽。

ギラついた悪党達と、銃と車とアメリカン・ダイナー。

強く、美しく、時に可憐な女性達。

幼い頃にディズニーの『ファンタジア』を見て以来、夢見てきた音楽と映画の華麗なる共演。それを、想像を遥かに超えるクオリティで、エドガー・ライト監督にはやらかしてもらいました。

映画が、音楽が、好きでよかった。

心の底からそう思います。

この映画の全ての登場人物、全ての音楽、全ての制作に関わった人々に、感謝を送ろうと思います。

ありがとう!!!!

 

では、僕からは以上です。

 

最後に、いちいちポスターもかっけえなコノヤロウ!!!!

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(終わり)

【和訳】Bob/NOFX

Nofx-Bob - YouTube

 

 

He spent 15 years

彼は15年費やした

Getting loaded for 15 years

15年も酔っ払い続けて

Till his liver exploded

ついに肝臓が爆発しちまった

Now what's Bob gonna do

さあ、ボブは何をするんだ?

Now that he can't drink?

もう酒は飲めない今になって…

The Doctor said: "What ya been thinking bout?"

医者は言った 「何を考えてたんだ?」

Bob said, "that's the point. I won't think bout nothing.

ボブは言ったよ「それが問題なんだ、オレは何にも考えちゃいなかった」

Now I gotta do something else

今は他のやることがあるんだ

To pass the time

ヒマを潰すために

Had someone shave his head

誰かに頭を剃らせて
He got a new identity

新しい自分を手に入れた

62 hole air cushioned boots

62個の穴付きのエアクッションブーツと

And a girl who rides a scooter

スクーターに乗った女の子

To take him out of town

彼女が街の外へ連れてってくれる

They would get away

2人は遠くに行っちまうんだろう

Running around

走り回って

And as the trucks drive by

トラックが通り過ぎていく側を

You can hear the mother fuckers go

奴らが行くのが聞こえるだろ

A couple of lines, an extra thermos of Joe

(うまいこと訳出できませんでした…わかる人教えてください)

He'll be kicking in heads at the punk rock show

彼はパンクのライブで無茶苦茶に暴れ回るんだろう

Bob's the kinda guy who knows just what to do

ボブはやるべき事がわかっているような奴なんだ

When the doctor tells him to

医者がボブにこう言った時に

Quit your drinking, now's the time

「酒を飲むのをやめろ。今がその時だ。」

But will he ever walk the line?

でも彼は真っ直ぐ歩けているのさ

To all my friends I feel just great

友よ、今はただいい気分だ

But will he ever walk the line?

でも彼は真っ直ぐ歩けているんだろうか

Kicking ass, and busting heads

ケツを蹴り上げ頭をぶん殴る

Red suspenders

赤いサスペンダーを付けて

Once a day he shaves his head

1日1回頭を剃る

But will he ever walk the line?

でも彼は真っ直ぐ歩けているんだろうか?

 

 

「Will he ever walk the line?」は、疑問形式の感嘆文として訳すこともできるみたいですが、今は普通に訳してます。

Get loadedが酔っ払うって意味だってのは初めて知りましたね。

この曲NOFXの曲の中でも特に好きです。NOFXの歌詞は、ホワイトトラッシュの悲しい生態が哀愁漂っていて好きです。

しっくりくる訳が調べても無かったので、なんとなく訳してみただけです。意訳気味だし訳しにくいとこ多かったので、間違ってるとことかあったら教えてください。

 

RANCIDがカバーしたバージョンも凄くかっこいいので聞いてみてください。

Rancid - Bob (NoFx cover) - YouTube

 

 

(終わり)

グッドウィルハンティング ー旅立ちー

今日は珍しく気分がいいです。今の内に出来ることを全てしておこうと思います。ここ数年、躁状態の万能感と鬱状態の無能感の間で、押しつぶされてしまっています。

 

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グッドウィルハンティングという映画を見ました。

物語の主人公は、天才的な数学のセンス(これが笑っちゃうくらい天才なんです)の持ち主ウィル。彼もまた、万能感と無力感の狭間で生きる意味を見失っています。しかし、彼の無力感は、自分が万能であるがゆえの代償のようなものなのでしょう。

あらすじはこちら⇩

 深い心の傷を負った天才青年と、同じく失意の中にいた精神分析医がお互いにあらたな旅立ちを自覚して成長してゆく姿を描く感動のヒューマン・ドラマ。ボストンに住む青年ウィルは、幼い頃から天才ゆえに周囲から孤立していた。だが、彼の才能に気付いた数学教授のランボーは、ウィルに精神分析医のショーンを紹介する。ウィルはショーンにしだいに心を開いてゆくが、彼の才能に気付いた政府機関や大企業が接近してくる。

グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち - 作品 - Yahoo!映画

感想とか書いていきます。

 

 

 

⚠️ネタバレ注意

 

本当に素敵な映画でした。特にラストシーンが爽やかで、とても気に入っています。どこまでも続く道路を主人公を載せた車が走っていく中、Elliot Smithの「Miss misery」が流れるシーン。車が遠くに消えていき、文字通り「旅立ち」を描いたシーンでこの映画は締めくくられます。

しかしそのエンドロールを眺めながら余韻に浸っていると、ある事実が心がザワつかせます。果たしてこの終わり方はハッピーエンドと言えるのでしょうか。f:id:metalheadyusuke312:20170812075859j:image

 副題の「旅立ち」の意味すること。それは、用意された出世の道ではなく、大切な人のためにカリフォルニアへ向かう主人公の「旅立ち」と、最愛の妻に先立たれ、半ば諦めかけていた余生を見つめ直すため、長い旅に出るショーン博士の「旅立ち」。この2人がいかに自分の人生に向き合うかが、この映画の焦点でした。

 

しかし、描かれているのはそれだけではありません。アイデンティティの危機に晒されたままの人々がまだいます。

まず一人目は、主人公を数学の道に進ませようとするランボー教授。

f:id:metalheadyusuke312:20170812072900j:image彼はフィールズ賞受賞という輝かしい経歴を持つMITの数学教授。しかし、主人公の圧倒的な才能に打ちのめされ、人生を狂わされます。

彼のウィルへの愛憎入り混じった感情は、ちょうどサリエリモーツァルトへの嫉妬に似ています。それに最後の主人公の行動は、ランボー教授への裏切りにも等しい行為。あの爽やかなラストシーンの後、彼が怒り狂ったことを想像するのは容易でしょう。

ウィルに狂わされたのはランボー教授だけではありません。教授の助手を務める彼も、また激しい嫉妬心に駆られた一人でしょう。

尊敬するランボー教授はウィルを可愛がってばかりで自分には目を向けてくれない。更にはその生意気な青年は、教授の寵愛を拒絶し、教授は絶望に追いやられる。多くは描かれない彼の葛藤にこそ、凡才である自分は激しく共感します。

 

そして、もう1人気になった人物がこのモーガン

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主人公の不良仲間の彼は、グループの中で虐げられているいわばいじめられっ子。ことある事に主人公の親友のチャッキー(ベン・アフレック)に怒鳴られどつかれています。

ラストシーンで、旅に出た主人公の代わりに車の助手席に座ることを許されて喜ぶ彼。しかし、これをもってして彼が報われたとするのは暴論でしょう。

 

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粗探しのように聞こえるかもしれませんが、脚本にケチを付けたいのではありません。むしろ逆で、「なぜ報われない人々が描かれているのか」を理解したいのです。

ランボー教授とその助手はともかく、モーガンがいじめられている描写などは、ストーリーに関わってきません。

つまり、脚本家(つまりマット・デイモンベン・アフレックの2人)あるいは監督が、"意図的にこの描写を入れた"ということ。

それは一体何故なのでしょうか?

 

 

深いセリフが連発されるこの映画で最も印象に残ったのは、ショーンがウィルに詰め寄るシーン。

君は何がしたい?君はこんな簡単な質問にも答えられないじゃないか。

明晰すぎる頭脳と知識によって、あらゆる人を言い負かし、壁を作って心を閉ざしてきたウィル。そんな天才の彼でも自分が何がしたいかはわからない。

しかし当のショーンも、この命題に直面します。「最愛の女性と過ごすこと」これがかつての彼の答えでした。しかしその妻をガンで亡くし、彼は半ば人生を諦めかけていました。彼はもう1度答えを見つけるため、まだ見ぬ世界を巡る旅に出ます。

ウィルは自分を愛してくれたスカイラーという答えを見つけ、彼女を追う旅に出る。ショーンはもう1度答えを探すために旅に出る。

繰り返しになりますが、副題の「旅立ち」とは、この2人がいかに「君は何がしたいんだ?」という疑問に向き合った結果でした。f:id:metalheadyusuke312:20170812080750j:image

 

 

なぜ、この映画で「報われない人々」が描かれていたのか。

それは(自分なりの解釈ではありますが)「君は何がしたい?」という問いかけが、極めて残酷なものでもある、ということを描くためなのではないでしょうか。

傷つけられた経験から心を閉ざす主人公が、心を開いていく過程でいつの間にか人を傷つけている。

自分が何がしたいのか、それにとことん向き合うことが人生だとするならば、そこには嫉妬や痛みがあるだろう。

旅立ちの先にある苦難を匂わせることで、単なる美談には終わらない奥深さを産んでいるように思います。

そう考えると、あのラストシーン美しいだけでなく、勇敢でもあるように見えます。

 

どんな映画もそうですが、またいつか見返したい、そう思う映画でした。

Elliott Smith - Miss Misery (Good Will Hunting) - YouTube

 

 

余談ですが、最近「仄暗い水の底から」と「残穢ー住んではいけない部屋ー」という邦画ホラー最恐作品を続けて鑑賞しました。この二つ、とくに後者に関しては2度と見たくないです!!

マジで夜寝るのが怖くなったぜ…

 

それでは、僕からは以上です。

 

(終わり)

「時計仕掛けのオレンジ」と「デビルズリジェクト」

ここ最近で、「マーダーライドショー2〜デビルズリジェクト〜」「時計仕掛けのオレンジ」「エスター」「ヘルボーイ」「ヘルボーイ2〜ゴールデンアーミー〜」の5作を見ました。意図せずして地獄や悪魔の話ばかりになってしまいましたが、どれも本当に面白い作品ばかりでした。

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↑これカッコイイ!

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感想とか書いていこうと思います。 

 

 

 

 

「時計仕掛けのオレンジ」

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今更ながら、古典的名作を初めて鑑賞。もっと分かりにくい作品かと思っていましたが、思ったよりわかりやすく楽しく視聴することが出来ました。

これを見て思ったのは、(映画に限らず音楽や美術においてもそうですが)古典とされている物を楽しむ際、それが本当に素晴らしい作品なのか?の判断を我々が真に必要としない、という前提が少なからずある、ということ。

すでにおびただしい数の批評の目に晒され、その価値が担保されているからこそ、我々はただその作品を享受できる。批評的に見るというより、ただ享受するという姿勢に近いかもわかりません。このことは決して良い事かどうかはわかりませんが、この作品に関してはこの前提のおかけでどっぷりと作品の世界に耽溺することができ、結果としてとても豊かな映画体験となりました。

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さて、「時計仕掛けのオレンジ」と言えば、独特の世界観とメッセージ性は世代を越えた映画ファンを魅了してきた一方、その過激な性描写や暴力表現により長くにわたり上映そのものが禁じられてきた、危険な映画でもあります。また、今まで嫌という程パロディやオマージュを捧げられた作品でもあり、見たことない人でもタイトルやポスターを知っていることも多いです。

そんな本作を見るにあたって、最初僕はかなり身構えていました。アート嗜好のシュールな話で全然訳わかんなかったらどうしよう…などといらない不安を抱えつつ、1人でポップコーンをかじりながら鑑賞しました。なんてことはない、杞憂だったぜ。最高に面白い映画でした。

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詩的で美しく時には悪趣味な絵面と、それをバチバチにカッコよく映すカメラワーク。ストーリー展開もとても面白く、引き込まれました。純粋に本当に面白い映画だと思います。

この映画は自由意志の映画として、後の作品に多大なる影響を与えています。例え残忍で凶暴な人間であろうと、自ら選択する力を奪ってしまって良いのか?また、選択する力を奪われた人間は、本当に生きていると言えるのか?こう問いかけることで、観客の倫理観が大いに揺さぶられます。

 

 

 

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「デビルズリジェクト」は、この問いかけに、明確な答えを提示した映画です。「悪魔のいけにえ」のモロな影響下にあるこの作品は、残忍で凶暴な殺人一家が主人公です。彼らは虫ケラの様に人を殺しながら、行く手を追う保安官からの逃避行を続けます。「悪魔のいけにえ」の殺人一家はどこか愛らしくすら見える魅力がありましたが、「デビルズリジェクト」では愛らしさの上に切なさすら感じました。

ロブ・ゾンビ監督は、彼らの悪魔的所業を究極の自由の行為として描くことで、観客に「自由とは何か?」と問いかけます。自由のために殺す。それが、「時計仕掛けのオレンジ」にも共通する自由意志というテーマに対する、ロブ・ゾンビの答えでした。ラストシーンで流れるLynyrdSkynyrdのFree Birdは、また新たな意味を持って我々に聞こえてきます。

ちなみにロブ・ゾンビ監督は、自身の楽曲Never Gonna StopのPVで時計仕掛けのオレンジにオマージュを捧げています。

Rob Zombie - Never Gonna Stop (The Red Red Kroovy) - YouTube

Rob Zombieカッコいい。あんなヒゲ生やしたいな。

「デビルズリジェクト」に関しては、「悪魔を憐れむ歌」(著:高橋ヨシキ)に詳細な解説が掲載されています。とても詳しく興味深い内容なので、是非参考にしてみて下さい。

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エスターとヘルボーイの感想も書こうとしたけど、疲れたので今度にします。最近文章を書いていなかったので、この記事を書くのにめちゃくちゃ手こずってしまいました。エスターはオーメンみたいな話かと思ったらもっと気持ち悪いオチでビビった。ヘルボーイは出てくるキャラクターがいちいちカッコよくてニクイ。でも1作目の新米捜査官は要らなかったね。あいつ何だったんだろ。

次は何を見ようかな。今日紹介した2作を、もっかい見直すのもいいかもしれない。

 

それでは。

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